「就業不能保険」発売相次ぐ 低金利の影響受けにくい商品性で脚光

就業不能保険を端末を使い説明する営業職員=22日、東京都中央区の住友生命本社(飯田耕司撮影)
就業不能保険を端末を使い説明する営業職員=22日、東京都中央区の住友生命本社(飯田耕司撮影)【拡大】

 病気やけがなどで働けなくなると保険金が出る「就業不能保険」への生命保険各社の参入が相次いでいる。日銀のマイナス金利政策による低金利で、一時払い終身保険や個人年金保険などの「貯蓄性商品」が運用難による苦戦を強いられているためだ。各社は、低金利の影響を受けない商品の開発・販売で“苦境”を乗り切ろうとしている。

 住友生命保険は22日、平成27年10月に販売した就業不能保険「未来デザイン1UP(ワンアップ)」の加入件数が6月末までに65万件に達したと明らかにした。当初は終身保険に特約として追加できる形だったが、「今年4月に単体での加入も可能にして契約数が伸びた」(担当者)。

 がん保険最大手のアメリカンファミリー生命保険(アフラック)、太陽生命保険なども同様商品の販売を始めるなど、昨年以降8社が参入した。今年10月からは最大手の日本生命保険と損害保険大手の東京海上日動火災保険も追随する。

 働けなくなった場合の生活費に不安を抱える単身世帯などを取り込もうと、住友生命、太陽生命が精神疾患まで、アフラックは医師の指示があれば在宅療養まで保険金を支払う対象とするなど特徴を持たせた。

 厚生労働省の3年ごとの調査によると、24年度の障害年金受給者数は、21年度比4.8%増の約198万人と増えており、各社とも就業不能保険のニーズは高まるとみている。今後、商品の優劣をめぐる競争が激化しそうだ。(飯田耕司)