国土交通省は27日までに、全国で急増する空き家の流通を促進するため、不動産事業者が空き家を買い取ってリフォームを行う場合、敷地にかかる不動産取得税を減額する新たな特例措置を、2018年度の税制改正要望に盛り込む方針を固めた。事業者の物件取得コストを軽減することで、空き家の再販売を活性化させるのが狙いだ。
空き家など中古住宅を買い取ってリフォームした物件を販売する「買取再販」を行う事業者などが対象。耐震性能改善などのリフォームを前提に中古住宅と敷地を取得した場合、現行税制では住居部分の不動産取得税を築年月に応じて最大36万円を減額しているが、要望では敷地部分にも軽減措置を求める。
減額幅は(1)4万5000円(2)住宅床面積の2倍分(上限200平方メートル)の課税額-のいずれか多い方。また、消費者が買取再販のリフォーム住宅を購入した際、住宅の所有権移転登記にかかる登録免許税率を0.3%から0.1%に引き下げる現行の特例措置も今年度末の期限切れに合わせて延長を要望する。
総務省によると、全国の空き家は約820万戸と20年間で1.8倍に増加。賃貸や売却向けに流通する物件を除けば、活用されていない空き家は約318万戸とされる。
都市部の居住者が地方の空き家を相続したものの管理が行き届かないケースも増え、地域の防災や防犯、景観面などで悪影響が懸念されている。
空き家の流通促進に向けては、物件情報などを登録した「空き家バンク」の活用で需給のマッチングを進める一方、消費者が購入に前向きになるような品質向上が不可欠。国交省は住宅販売のプロである不動産事業者の関与を強める必要があるとして、税制面での支援を検討していた。