
柏崎刈羽原発6、7号機の審査書案の取りまとめに向けた議論を始めた原子力規制委の定例会合=6日午前、東京都港区【拡大】
原子力規制委員会が柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の審査で合格を出す見通しとなり、東京電力の経営再建は一里塚を迎える。東日本で多数を占める沸騰水型軽水炉(BWR)は福島第1原発事故後まだ1基も動いておらず、実現すれば原子力政策の正常化にも一役買いそうだ。ただ、地元・新潟県の反発など乗り越えるべき課題は多く、再稼働の時期は見通せない。(田辺裕晶)
東電が総額22兆円に上る福島原発事故の処理費用をまかなうには、年間5千億円程度を安定的に捻出する必要がある。平成28年度は廃炉や賠償などで約3千億円を確保した。今後は原子力や送配電事業で他社と再編・統合を進めるなど収益力を高め、残りを埋める。
6、7号機が動けば火力発電の燃料費負担が減り、処理費用の不足分に相当する年間最大2200億円の収支改善が見込める。柏崎刈羽の再稼働が東電経営再建のカギを握るとされるゆえんだ。
加えて、柏崎刈羽の合格は原発の「西高東低」の解消にもつながる。これまで規制委の“お墨付き”を得たのは6原発12基で、いずれも西日本の加圧水型軽水炉(PWR)だ。東日本の電力各社は東電の審査対応を参考にしており、東電の審査遅延が全体の遅れを招いていた。