神戸製鋼、アルミ製品で性能データ改竄 MRJなどに出荷

アルミ製品の一部で性能データを改竄した問題について、謝罪する神戸製鋼所の梅原尚人副社長(中央)ら=8日午後、東京都港区
アルミ製品の一部で性能データを改竄した問題について、謝罪する神戸製鋼所の梅原尚人副社長(中央)ら=8日午後、東京都港区【拡大】

 神戸製鋼所は8日、アルミ製品などの一部で、強度や耐久性などの性能データを改竄(かいざん)して納入していたと発表した。改竄があった製品の納入先は約200社に及び、三菱重工業傘下の三菱航空機が開発中の国産ジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)のほか、自動車各社の乗用車にも使われているという。神戸製鋼は一部では10年以上前から不正があったとしており、信用力の低下は必至だ。川崎博也会長兼社長ら経営陣の責任の明確化は避けられない。

 東京都内で会見した梅原尚人副社長は「深く反省し、おわび申し上げます」と謝罪した。

 神戸製鋼が過去1年に出荷した製品を調査し、不正が判明した。顧客から求められた製品仕様に適合していない一部の製品で、検査証明書のデータを適合しているように書き換えていたという。梅原氏は「10年以上前から、そういった行為があったもようだ」と説明しており、改竄は日常的かつ組織的に行われていたとみられる。これまでに改竄が判明したのは、アルミ製品が1万9300トン、銅製品が2200トン、アルミ鋳鍛造品が1万9400個。同社のアルミ・銅部門の製品の4%を占めるという。

 神戸製鋼は具体的な納入先を公表していないが、今後、安全性などを納入先と共同調査するとしている。調査の結果次第で大規模リコール(回収・無償修理)に発展する可能性もある。一方、三菱重工は神戸製鋼の製品の安全性に問題はなく、MRJの開発には影響しないとの見方を示した。

 同社では昨年、グループ会社によるステンレス製品のJIS法違反のデータ改竄が発覚。グループ全体を対象にした緊急調査を行い、その他にはデータ改竄はないとしていた。梅原氏は「前回はJIS法などの法令面での違反を調査し、民間同士の取引についての監査が抜け落ちていた」と述べた。