
神戸製鋼所の東京本社【拡大】
神戸製鋼所は11日、顧客と約束した仕様を満たさない鉄粉製品について、検査データを書き換えて出荷していたと発表した。さらに子会社のコベルコ科研(神戸市)が手掛ける製品でも検査データを書き換えていた。アルミや銅製品のほかにもグループでデータ改ざんが広がっていたことで、さらなる信用低下は必至だ。
改ざん問題で追加費用が生じる可能性にも備え、神鋼は子会社である神鋼不動産(神戸市)の株式を売却する方針だ。
鉄粉は焼き固めるなどして部品を造るのが一般的で、自動車や機械などに幅広く使われている。神鋼によると、改ざんが確認されたのは、同社高砂製作所が製造拠点となっている粉末冶金用の鉄粉製品。同社は「今回の規格外れ品は高品位側の製品になるため、性能への影響は少ないと考えている」と説明している。
また、コベルコ科研の高砂事業所が製造拠点となっている金属薄膜のターゲット材の検査データも書き換えられていた。出荷先は70社に及んでいる。
神鋼では今回判明したデータ改ざんを含めて法律事務所が調査を行っており、調査が完了次第、結果を報告するとしている。
経済産業省は11日、神鋼の川崎博也会長兼社長が12日午前に経産省を訪問すると発表した。改ざん問題の経緯を報告するとみられる。