
神戸製鋼所東京本社=11日午前、東京都品川区【拡大】
神戸製鋼所は11日、半導体の材料分析を手がける子会社のコベルコ科研(神戸市)が手掛けている製品で検査データを書き換えていたことや、顧客と約束した仕様を満たさない鉄粉製品について、検査データを書き換えて出荷していたと発表した。さらなる信用低下は必至で、事業部門の垣根を越えて不正に手を染めた企業体質が改めて問われそうだ。
コベルコ科研は、実際に強度や成分を分析していないにもかかわらず、あたかも行ったかのように装い、「検査成績書」を添えていた。71社に納めた材料の検査でデータ改竄が判明したが、出荷量や使用製品は把握できていない。経済産業省は「アルミと銅以外の事業でも不正があった事実を非常に重くみている」としている。
一方、神戸製鋼は鉄粉でもデータを改竄し、1社に供給していた。製品の密度が取引先との取り決めを上回るものだったものの、データを改竄して契約通りに見せかけていた。
鉄粉は、焼き固めることで複雑な形状の部品を製造でき、自動車部品のギアなどで素材に使われている。神戸製鋼は、問題の鉄粉を使った製品を明らかにしていないが、それ以上対象が広がる可能性はないとしている。鉄粉は、アルミ・銅で不正が発覚した4工場とは別の高砂製作所(兵庫県高砂市)で生産されたという。
11日の東京株式市場では前日に続いて神戸製鋼株に売り注文が相次ぎ、年初来安値となる前日比190円安の878円で取引を終えた。
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経産省は11日、神戸製鋼の川崎博也会長兼社長が12日午前に経産省を訪問すると発表。多田明弘製造産業局長と面会し、改竄問題の経緯を報告する。