
神戸製鋼所の不祥事【拡大】
アルミ製品などの性能データ改竄が発覚した神戸製鋼所では、経営トップから全社員に対し、法令順守(コンプライアンス)を促すメールが送信されるなどの対応に追われた。神戸製鋼をめぐっては、過去にも不祥事が相次いでおり、法令順守の軽視が浮き彫りになっている。
神戸製鋼がアルミ・銅製品のデータ改竄を発表して最初の営業日となった10日、川崎博也会長兼社長は全社員にメールを送信した。事実の経緯が説明された上で、再度、法令順守の徹底を促す内容だったが、どこまで社員の心に響いたかは疑問だ。
昨年6月には、グループの神鋼鋼線工業の子会社が、ばね用鋼材で、日本工業規格(JIS)を満たしているように試験データを改竄したことが発覚。神戸製鋼は、公表から1カ月もたたないうちに、法令などの順守状況の一斉点検結果をまとめ、「新たな不正はなかった」と安全宣言した。
しかし、1年数カ月後にアルミ製品などの性能データ改竄が発覚した。8日の会見で、梅原尚人副社長は「前回はJISに関連するため、法的規格に関しての監査を厳しく行った。その一方で(今回問題となった)民間同士の取引に対する意識が乏しかった」と釈明したが、法令順守への意識の欠如は否めない。
神戸製鋼をめぐっては、1999年の総会屋への利益供与事件や、2006年の煤煙(ばいえん)データの改竄など、不祥事が相次いでいる。今度こそ、法令順守の欠如に真摯(しんし)に向き合い、徹底した原因究明と再発防止策が求められる。