【東レのデータ改竄】素材産業で相次ぐ不正 モラル低下、消費者軽視、縦割り…共通の問題も 揺らぐモノづくり (2/2ページ)

東レハイブリッドコードが製品検査データの書き換えを行った件で会見する、東レの日覚昭広社長=11月28日、東京都中央区(寺河内美奈撮影)
東レハイブリッドコードが製品検査データの書き換えを行った件で会見する、東レの日覚昭広社長=11月28日、東京都中央区(寺河内美奈撮影)【拡大】

 東レの不正は、再検査などの煩雑な作業を嫌ったのが動機という。収益確保が難しくなり、技術的なハードルも高まる中、納期順守のプレッシャーを感じていた可能性もある。

 神戸製鋼は、傘下にアルミ・銅など7つの事業部門を抱える。三菱マテリアルは事業別に4つの社内カンパニーを設け、権限を大幅に委譲していた。東レも多くの事業を抱え、子会社を含む事業部間の人事交流はあまりないという。縦割りの組織は閉鎖的な風土を生み、経営陣の監視の目も行き届きにくい。

 さらに、消極的な情報開示姿勢でも3社は共通している。東レの日覚昭広社長は神戸製鋼の問題がなければ今回の不正を公表しなかったとの考えも示しており、消費者軽視の姿勢は批判を集めそうだ。(井田通人)