JDI、中国パネル3社と資本導入交渉 政府規制が焦点

 経営再建中の中小型液晶パネル大手ジャパンディスプレイ(JDI)が外部資本の導入に向け、京東方科技集団(BOE)など中国パネルメーカー3社と交渉していることが19日、分かった。2018年3月末までの合意を目指しており、対外投資の規制を強化している中国政府の動向が焦点だ。難航すれば資金繰りが切迫し、再建は正念場を迎える可能性もある。

 ほかの2社は天馬微電子と華星光電(CSOT)。調達額は総額2000億円超を想定している。確保した資金を国内工場に投じて、需要拡大が確実視されるスマートフォン向け有機ELパネルの量産技術を確立し、その技術を供与することで支援を取り付けたい考えだ。

 台湾の鴻海精密工業も視野に入れるが、液晶に強みを持つシャープを傘下に置くことがネックとなる。資本提携が液晶市場の競争を妨げかねないとみなされれば、関係各国の独禁法審査を通るめどが立たなくなる可能性があるためだ。

 業績不振が続くJDIは経営安定の指標となる自己資本が右肩下がりで減り、17年3月期末に3248億円まで低下している。18年3月期は構造改革費用として計1700億円の特別損失を計上する予定で、連結最終損益は予想を開示していないものの、4年連続の赤字が避けられない。自己資本がさらに厳しい状態になるのは確実だ。

 資金繰りは当面、主力銀行3行が設定した1070億円の融資枠を活用してつなぐが、資本提携先の確保が遅れれば底を突きかねない。JDIの筆頭株主で政府系ファンドの産業革新機構が追加支援を迫られる可能性もある。