スマートフォンに押され、苦境続きだったカメラ業界が息を吹き返すかもしれない。ミラーレスカメラの好調で、低迷してきたデジタルカメラの出荷台数は2017年、7年ぶりに前年比でプラスに転じ、出荷額も5年ぶりに増加した。カメラ不況を吹き飛ばす“神風”の到来となるのか。各社ともミラーレスシフトを強め、反転攻勢ののろしを上げた。
展示会の目玉に
3月上旬、横浜市のパシフィコ横浜で開かれたカメラの展示会「CP+(シーピープラス)」。毎年7万人近くのカメラファンが訪れ、各社はこぞって力の入った展示を繰り広げる。このため、その年の業界のトレンドを映し出す鏡といえる。
ミラーレスの新製品「X-H1」を同月発売したばかりの富士フイルムは前年比1.5倍の面積のブースを構え、X-H1を目玉展示に据えた。
堅牢(けんろう)性を高めたボディーに、Xシリーズでは初となるボディー内手ぶれ補正機能を搭載した自慢のハイエンド(高級)機で、来場した大勢のファンの注目を集めた。
富士フイルムが初のミラーレス「X-Pro1」を発売したのは12年。以降、ミラーレスをカメラ事業の中核に据えた。この6年の改良の積み重ねで処理速度も向上し、スポーツ撮影もミラーレスで全く問題ない。ミラーなどが存在しない分、小型軽量化を実現でき、画質的には一眼レフと遜色ない。