台風21号による関西国際空港の一時閉鎖の影響で、関西の訪日外国人客(インバウンド)は減少したが、心配をよそに関西の百貨店の売り上げは大きく落ち込まなかった。催事や外商顧客向けのサービスなど国内客の集客策にも力を入れていたことがリスクヘッジになったという。(栗井裕美子)
広い店舗を活用
日本一のノッポビル、あべのハルカスに入る近鉄百貨店本店(大阪市阿倍野区)。日本最大級の営業面積を生かし、4階と9階の計2カ所ある催事場内で国内客も楽しめる企画にこだわっている。
10月17日から23日まで開いた「イタリア展」では、ワインとともに切り立ての生ハムを味わったり、その場でたてたコーヒーを飲んだりするイートインカウンターを設置。特殊なデジタル加工技術を使って、名画「最後の晩餐(ばんさん)」の登場人物が動く仕掛けもあった。
金沢市から来た友人(72)とともにワインを楽しんでいた尼崎市の無職男性(62)は「おいしいものを楽しみながらゆっくりと過ごせるのはいい」と話した。
同店の9階では、幅広い世代に好まれることをポイントとして食べ物の催事を多く開催している。北海道や九州など定番の物産展のほか、パン、トマトなどテーマを決めた企画も織り交ぜる。
4階ではアニメやゲームなど子供や若い世代に向けたイベントを開催。人気ゲーム「A3!」の展覧会を開催した際は関連グッズで約6千万円の売り上げがあったという。
いつでも楽しい
同店の岡田祐一催事課長は「『いつも何かをやっている』とうちに遊びに来てもらえるようにしたい」と話す。