STAP(スタップ)細胞が存在するかどうかを確かめる検証実験を進めてきた理化学研究所は27日、現時点で細胞は作製できていないとする中間報告を発表した。小保方(おぼかた)晴子研究ユニットリーダー(30)らの論文に記載された手法で細胞を調べた結果、万能性の指標となる遺伝子の働きは確認できなかった。さらに実験を継続し、来年3月までに存否の結論を出す方針だ。
検証実験は小保方氏が所属する発生・再生科学総合研究センター(神戸市)のチームが4月に開始。万能性の指標となる遺伝子が働くと、細胞が緑色に光るように遺伝子操作したマウスを使って、STAP細胞の作製を試みた。
7月末までの状況をまとめた中間報告によると、検証チームは小保方氏らの論文の手法に従ってマウスの脾臓(ひぞう)からリンパ球を採取。弱酸性の溶液に浸して培養し、万能性遺伝子の働きを調べた。これまで22回実験したが、目印となる緑色の光は確認できなかった。当初計画では6月末までにSTAP細胞を作製する予定だった。細胞の存否について、理研は「現時点では判断できない」としている。
今回の手法では細胞を作製できなかったが、他の実験条件でも検証する必要があるとして、今後は細胞の作製方法やマウスの系統などを変えて実験を行う。
小保方氏は検証チームに実験方法などを助言する一方で、11月末までの予定で自ら実験を独立して行う。現在は準備段階だが、まず今回と同じ手法で細胞を作製することを目指す。