製法を特定して特許登録した医薬品とは別製法による同じ成分の製品が特許を侵害しているかが争われた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は5日、「製法が違っても製品の性質や構造が同じなら同一の物」とし、侵害にあたる可能性があるとの初判断を示した。
その上で「発明物の構造や性質の特定が不可能か、実際的ではない場合に限る」として、製法を特定した特許は限定的に認めると指摘。2審知財高裁判決を破棄して、問題の医薬品が特許として認められるか審理し直す必要があるとして、2件とも知財高裁に差し戻した。
2件のうち1件は知財高裁が重要案件を5人の裁判官で審理する大合議で行われた。平成17年の知財高裁設置以来、9件の大合議審理があったが、最高裁での破棄は初めて。
また、千葉裁判長は補足意見で「構造や性質を特定するのに現実的ではない時間や費用がかかり、技術革新や特許競争を考えたときに酷な場合」に、製法を特定した発明物の特許が認められると指摘した。
バイオ医療などの先端分野では発明物の構造や性質を明確にして特許申請することが難しいとされ、製法を特定して申請する場合が多い。一方で「本当に新たな発明か疑わしい粗悪なケースもある」(特許庁関係者)といい、この申請手法をどの程度認めるか、議論が続いてきた。
最高裁が特許侵害の範囲を指摘しつつ、特許が認められる場合に言及したことは、今後の特許行政に影響を与えそうだ。