パリ郊外で開催中の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)は、11日に会期末を迎える。議長国フランスが9日中に合意文書の新たな草案を発表する方針で、世界全体の長期的な目標として産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑えることに加え、海面上昇による国土水没の危機にある島嶼(とうしょ)国の要望を受け、さらに厳しい1.5度未満も併記する見通しだ。
これまでの議論では、長期目標を掲げたうえで、実効性を持たせるため各国の削減目標を5年ごとに集計し、世界全体で進捗(しんちょく)状況を確認する仕組みを作ることでほぼ一致。1.5度目標は中東など一部の国が反対しているが、深刻な気候変動の影響にさらされた島嶼国の意見を受け入れた。
各国の目標達成を義務化することは米国を中心に反発が根強く、拘束力を持たせる範囲を目標の作成や提出までにとどめるような緩やかな枠組みになりそうだ。
一方、先進国から途上国への2020年以降の資金支援で具体額を書き込むのか、長期目標に排出削減の数値を入れるのかといった懸案は複数の選択肢を持たせたままになる見通し。交渉筋は「合意形成を優先して具体的な数字は入れられないだろう」と指摘する。
フランスのファビウス外相は8日の会合で「(草案が)重要なステップになると期待する。だが、まだ最後の結論ではない」と含みを持たせており、懸案解決が長引けば会期延長を余儀なくされる恐れもある。(パリ 田辺裕晶)