公正取引委員会は30日、キヤノンによる東芝の医療機器子会社「東芝メディカルシステムズ」(栃木県大田原市)の買収手続きの事前の届け出に関し、独占禁止法に違反する恐れがあるとして、キヤノンを注意したと発表した。届け出の前に株式譲渡などの手続きを始めたことを問題視した。公取委が買収手続きの事前届け出で企業を注意したのは初めて。
企業結合課の品川武課長は記者会見で「違反でないが、問題はある」と説明。「今後、手続き義務を軽視する対応がないように強く求めたい」とした。買収については承認した。
違法とは認定しなかった理由について、今回の買収手続きと同じようなケースがなく、明確なルールもなかったことなどを挙げた。
東芝はリストラ費用がかさんだことなどから財務が悪化し、債務超過に陥る寸前となった。優良子会社だった東芝メディカルを売却するため入札を実施。今年3月、キヤノンに約6655億円で売却すると発表した。
独禁法では一定の規模で企業買収などが行われる場合、事前の届け出を求めている。