□ISID・江上広行氏
地方創生へ向け、地域金融機関の融資機能復活が課題となっている。カギは知的財産と同じ「目に見えない価値」にあるという。地域金融機関向けコンサルティングを行う、電通国際情報サービス(ISID)の江上広行・VCFエバンジェリストに聞いた。
--金融庁は金融機関に対し、顧客との対話を通じて担保や保証に頼らない融資を促している
「(担保や保証の前に)金融機関は主として財務諸表などの情報を使って企業を標準化、定量化して評価し、その信用力で融資をしてきた。だが、地域に根ざす金融機関は別の観点で信用を担保できるはずだ」
--それは何か
「地域コミュニティーでの信頼関係の可視化だ。例えば町内会や取引先網の中で構築される私的関係性を理解し、そこで形成される個々の企業や人物の信用力を把握し、金融機関の信用情報として活用することだ」
--具体的には
「コミュニティー内で生まれる“おかげさま”や“お互いさま”という信頼意識のつながりを可視化し、評価することで融資判断に役立つ情報が得られる。実際、地域で信頼される経営者の企業は倒産しない。特許や技術力を保有するのと同様に、地域の信頼を得ることで目に見えない価値が形成されているからだ。その解析方法、信用情報としての実証方法を現在、研究している」