東電強制起訴初公判 勝俣恒久元会長、改めて謝罪もきっぱり無罪主張 「私が事故予見することは不可能」 (1/2ページ)

福島第1原発事故をめぐる初公判のため東京地裁に入る東京電力の勝俣恒久元会長=30日午前
福島第1原発事故をめぐる初公判のため東京地裁に入る東京電力の勝俣恒久元会長=30日午前【拡大】

  • 福島第1原発事故を巡る初公判が開かれた東京地裁の法廷=30日午前(代表撮影)
  • 福島第1原発事故を巡る初公判に臨む東京電力側の弁護士ら=30日午前10時、東京地裁(代表撮影)
  • 福島第1原発事故を巡る初公判に臨む検察官役の指定弁護士ら=30日午前、東京地裁(代表撮影)

 「私が事故を予見することは、当時は不可能だったと考える」。東京電力福島第1原発事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された元会長の勝俣恒久被告(77)、ら東電旧経営陣3人の初公判。東京地裁で最も広い104号法廷には、かすれ声ながらも、きっぱりと無罪を主張する勝俣被告の声が響き渡った。

 今回、強制起訴されたのは勝俣被告のほか、いずれも元副社長の武藤栄(67)、武黒一郎(71)の両被告で、東京地検は3人を不起訴としたが、検察審査会が平成27年7月に「起訴すべきだ」と議決。裁判所に指定された弁護士が検察官役を務め、公判が進められる。最大の争点は「3人が巨大津波の発生を予測できたのに対策を怠り、事故を引き起こしたのか」とされる。

 この日、勝俣被告ら3人は開廷1分前の午前9時59分に入廷。永渕健一裁判長は午前10時を待つことなく「おそろいなので」と開廷を宣言した。

 永渕裁判長が3人に名前などを確認すると、それぞれ勝俣被告はかすれ声、武黒被告は小さな声、武藤被告ははっきりした声で自らの名前を名乗った。

 今回は検察官役を指定弁護士が務めるが、法定内での呼称の混乱を防ぐため、永渕裁判長は「指定弁護士のことは便宜上、検察官と呼ばせてもらいます」と断りを入れた。

 続けて起訴状朗読が始まり、指定弁護士は「被告人3名は想定される自然現象により、原子炉の安全性を損なう恐れがある場合には、防護措置などの適切な措置を講じるべき業務上の注意義務があった…」。

「振り返ってみても事故は予見できなかった」