【東電強制起訴初公判】旧経営陣弁護側、真っ向反論で無罪主張「予測をはるかに超える津波」 (1/4ページ)

東京地裁に入る東京電力の勝俣恒久元会長(右)=30日午前
東京地裁に入る東京電力の勝俣恒久元会長(右)=30日午前【拡大】

  • 福島第1原発事故を巡る初公判のため東京地裁に入る東京電力の武黒一郎元副社長=30日午前
  • 福島第1原発事故を巡る初公判のため東京地裁に入る東京電力の武藤栄元副社長=30日午前

 東京電力福島第1原発事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された元会長の勝俣恒久(77)、いずれも元副社長の武黒一郎(71)、武藤栄(67)の東電旧経営陣の3被告に対する初公判は30日午後、被告側の弁護人の冒頭陳述が行われた。弁護側は「予測をはるかに超える規模の津波で、全く想定されていないものだった」と真っ向から反論した。

 昼の休廷を挟んだ午後1時すぎ、硬い表情で入廷した3被告は一礼してそれぞれ席についた。

 「政府機関の長期評価と、それに基づく15.7メートルの津波が起こるとする試算は、予見可能性に足りる信頼性と成熟性を有するものではない」

 予見可能性があったとする指定弁護士側の主張に対し、弁護側は冒頭から、3被告に共通して予見義務と結果回避義務がなかったことを強調した。

 福島第1原発の法令に基づく安全対策の実施状況は、昭和35年のチリ地震津波の際の津波の高さを基に、小名浜港の海面からの高さ3.12メートルを基準とし、潮位差を加えても防災面からの敷地地盤高は4メートルと定めていたと指摘。「過去の最も過酷な数字を基にしており、これは(東日本大震災の起きた)平成23年3月11日まで効力があったと考える」と訴えた。

「法令にプラスした安全対策がとられていた」