【東電強制起訴初公判】検察官役、刑事弁護のスペシャリスト 裁判長も刑事の担当長く

福島第1原発事故を巡る初公判に臨む検察官役の指定弁護士ら=30日午前、東京地裁(酒巻俊介撮影)
福島第1原発事故を巡る初公判に臨む検察官役の指定弁護士ら=30日午前、東京地裁(酒巻俊介撮影)【拡大】

 東京電力旧経営陣の公判では、裁判所から指定された弁護士が検察官役を務める。刑事弁護のスペシャリストを中心に経験豊富な弁護士がそろい、立証手法にも注目が集まる。

 指定弁護士を務めるのは5人。石田省三郎氏はロッキード事件で田中角栄元首相の弁護団に参加し、大阪地検特捜部の証拠改竄(かいざん)事件を受けて国が設置した「検察の在り方検討会議」では委員を務めた。

 最高裁司法研修所の教官でもある神山啓史氏は、多数の再審事件を手掛けることでも知られる。東京電力女性社員殺害事件では、石田氏や、武藤栄被告の弁護人の宮村啓太氏とともにネパール人男性の再審無罪を勝ち取り、「最も優れた刑事弁護人の一人」(法曹関係者)とも評される。

 今回、指定弁護士は保管する約4千点の証拠の一覧表を弁護側に交付し、原則として全ての開示に応じる方針を示していた。日本弁護士連合会などが求める全証拠開示を実践した形だ。

 一方、裁判長を務める永渕健一判事は平成2年任官で、刑事裁判の担当が長いベテラン裁判官。福岡高裁事務局長などを経て、平成28年7月から東京地裁部総括判事を務める。裁判員制度導入前後の19~23年には司法研修所教官を務めた。