遺族年金18億円を過払い 受給資格喪失の1000人に

 生計を支えていた配偶者や親を亡くした家族に支給される遺族年金について、会計検査院の調べで、再婚などで受給資格を失った約1000人に対し、日本年金機構が昨年度までの3年間で計約18億円を払い続けていたことが11日、関係者への取材で分かった。

 うち約8億円は既に5年の消滅時効が成立し、機構が返還を請求できる期限が過ぎていた。検査院は時効が成立していない分の返還手続きを取らせ、受給資格の確認を徹底するよう厚生労働省に求める方針だ。

 遺族年金は、事実婚を含む結婚や養子縁組などで受給資格を失った場合、10~14日以内に「失権届」を出さなければならない。

 関係者によると、検査院が遺族年金の受給者約530万人のうち、1万人を抽出して調査した結果、900人以上は失権届の提出が期限より遅れたことから、約17億円が支払われていた。このほか、提出していない約20人にも約1億6000万円が支給された。