美的要素をコアにおくコミュニティー レッジョ・エミリア教育が導く世界 (1/3ページ)

【安西洋之のローカリゼーションマップ】

 この連載で何度かレッジョ・エミリア教育について書いている。イタリア北部の17万人の街で実践されている乳幼児教育であり、世界各国30数カ所に拠点がある。100以上の国に普及している。

 数週間前、レッジョ・エミリア教育の国際センターを訪れ、幼児学校と生徒たちの作品展示を見学した際の心の波動がまだ消えない。

 大きなテーブルにあらゆる筆記用具が揃っている。鉛筆、クレヨン、マーカー…もちろん色も豊富だ。それらが整然と並んでいる。そしてもう一つ、別の大きなテーブルの上には、それぞれ異なった質とサイズの紙が、これまたきれいに並んでいる。

 同校の教育は、子どもに道具を選択させるところからスタートする。ある子どもは黒のペンと黒い紙をとる。そこに木々を描く。

「これは夜の森だ」と子どもは説明する。

 とても強烈な世界観で、「はあい、青いクレヨンで空を描きましょう!」では出てこない発想だ。

 よく自由な表現をさせるというが、先生が道具を決めるところで既に子どもの感じ方に縛りを与えていることになる。道具の種類を十分に用意すると子どもの感じる力も全開になる、というわけだ。

 弘法は筆を選ばず、という言葉がある。道具の不出来を自分の書の拙さの弁解に使うな、という意味だ。が、この言葉を幼児教育における道具の選択に適用してはいけない。

子どもには全てがある、という前提から●