アルコール依存症治療に新薬 神経系に作用、欲求を抑制 (1/4ページ)

2013.10.27 13:02

 酒の飲み方をコントロールできず、心身だけでなく人間関係をも壊してしまう恐れのあるアルコール依存症。治療・再発防止には生涯にわたる断酒が必要となる。こうした中、断酒中のアルコール依存症の患者向けの新しい処方薬が5月、登場した。飲酒に寛容な社会環境の中で生涯断酒は患者にとって誘惑は多く、神経系に作用するとされる新薬の効果に期待が寄せられている。(日野稚子)

 推計患者80万人

 アルコール依存症は量や飲むタイミング、状況を自分でコントロールできなくなる精神疾患。習慣的な飲酒でアルコールへの耐性が付き、量も徐々に増え、酒が欲しくなる精神依存に陥る。体からアルコールが切れないように数時間おきに酒を飲む「連続飲酒」へ移行すると、体内からアルコールが切れたとき、手の震えや多汗、睡眠障害(不眠)、下痢、幻聴、幻視などさまざまな離脱(禁断)症状が表れる。

 アルコール摂取が続けば肝臓だけでなく、循環器や消化器などに疾患を併発したり、不慮の事故で死に至ったりする。薬物中毒と同様に、治療は断酒しかないとされる。厚生労働省の各種調査によると、全国で治療中の患者(平成23年)は約4万人、推計患者(15年)は約80万人という。

コップ1杯程度のビールでも吐き気や眠気、顔面紅潮などを引き起こす

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