取り組みをやめれば楽だし、家族の介護負担を一緒に担わなくても自治体は責任を問われない。だが、今も取り組みを進める。認知症になっても、それ以前と変わらぬ暮らしができる町にするのが願いだ。
「本当にあれで良かったのか、今も整理がつかない。しかし、プロセスを丁寧に積み上げ、関係者の合意で意思決定をした。これで良いというやり方はない。今後も一件一件、個別に考えて対応していくしかない」(同)と話している。
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社会で保障する仕組みを
認知症介護研究・研修東京センターの永田久美子部長の話「認知症の人を地域で支えるには、理解と合意を積み上げて行動を起こすのが回り道に見えて最短の道だ。鉄道会社にも見守りのネットワークに参加してもらうことで網の目は細かくなっていく。それでも事故は起こる。個人や鉄道会社にのみ責任を負わせるのではなく、鉄道事故や自動車事故などで生じる損害は社会で保障する仕組みが必要。判決を機に、社会的な見守りや支え合いの合意をつくり、損害をどう分かち合うかを議論し、人と費用と制度の重層的な支えをつくっていく必要がある」