骨折など原因が明らかで短期間で治る急性の痛みに対し、原因がはっきりせず痛みが長く続く「慢性疼痛(とうつう)」。潜在的には国内で約2千万人が苦しんでいるともされる。高齢化が進むに従い、患者は増加傾向にあるが、完治は難しい。専門医は「痛みにとらわれ過ぎず、うまく付き合いながら、QOL(生活の質)を上げて日常の暮らしを楽しんでほしい」と話している。(袖中陽一)
難しい客観的評価
兵庫県尼崎市の女性(76)は昨年1月、転倒し、左手を骨折。手術は無事に済んだが、今も左手が不自由だ。「指を少し動かすだけでも痛い」。ペットボトルの蓋も開けられないため、買ったときに店で開けてもらうなど日常生活に苦労している。
女性は尼崎中央病院(尼崎市)の「慢性疼痛外来」に通い、リハビリも行っている。担当の三木健司医師は「骨折の治療は終わっているのに痛みが続く、慢性疼痛の一つのパターン。粘り強く運動を続けることがADL(日常生活動作)を保つことにつながる」。
同院の「慢性疼痛外来」は平成16年に開設。年々患者が増え、現在は1カ月に約300人が訪れる。三木医師によると、症状としては「腰痛」が最も多く、「膝の痛み」「全身の痛み(線維筋痛症)」が続く。高齢者が多く、性別では女性患者が男性の4、5倍に達するという。