乳酸菌飲料を飲む要介護の女性を診察する菊谷院長=東京都三鷹市【拡大】
■形状、栄養など食事助言し治療
「ほんの少しでも口から食べたい」「もう一度、口から食べたい」。胃に管で直接栄養を送る「胃ろう」に疑問の声が高まっている。年齢や疾患によって食べる機能には差があるが、再び口から食べるようにしたり、胃ろうにせずに済んだりする取り組みが注目されている。(佐藤好美)
東京都小金井市にある「日本歯科大学口腔(こうくう)リハビリテーション多摩クリニック」は一昨年10月に開設された。歯科医で院長の菊谷武・日本歯科大教授らは「口から食べる」治療を外来と訪問で行う。患者は開設後1年で約1500人に上った。
診察ではまず、患者の「かむ」「飲み込む」機能を評価する。そのうえで食べ物について、どんな形状が適切か▽どの程度の栄養が必要か▽どんな姿勢で食べさせるか-などをアドバイスする。1人暮らしの患者には機能以外の要素も考慮する。「スーパーで魚の煮付けを買うなら、ムツなど脂ののった魚が食べやすい。生活に合う食品や入手方法がある」と言う。