■逸失利益、医療費、生活保護…
子供が虐待を受けることで子供自身が失う利益や医療費、生活保護の増大などの社会的コストを社会福祉法人の研究機関が試算した。児童虐待に特化した社会的コストの推計は日本で初めて。限られたデータによる推計だが、年額約1兆6千億円にのぼり、虐待を受けた直後だけでなく、生涯にわたり大きな負担が続くことが改めて浮き彫りとなった。(村島有紀)
貧弱なシステム
試算は社会福祉法人恩賜(おんし)財団母子愛育会・日本子ども家庭総合研究所(東京都港区)の主任研究員、和田一郎さんらが実施。平成22~25年度の文部科学省の科学研究費を使って行った。内容をまとめた論文はこのほど、国際学術誌「チルドレン・アンド・ユース・サービス・レビュー」のウェブサイトに、虐待による社会コストをまとめた日本で初めての研究として掲載された。
24年度の1年間に社会が負担したコストを試算した。児童養護施設の運営費などの「直接費用」と「間接費用」に分けて計算。間接費用は、(1)虐待により死亡したため得られなくなった将来の収入(逸失利益)(2)トラウマ(心的外傷)の治療に必要な医療費(3)教育機会を奪われたことによる生産性の低下(4)離婚や犯罪、生活保護費の増加-などを集計したものだ。