「その世帯がどのフェーズにいるのか(マイホームを購入してローンがある、子どもが大学進学しているなど)、どんな生活がしたいかによって必要な資産は変わるので、1209万円あれば安心とも、400万円で不安だとも言えません。ですが、私がアドバイスするとしたら『リスクヘッジとして、貯金だけでなく投資をはじめるのはいいことだけど、これからの市場はかなりの波乱含み。初心者が丸腰で挑むのはお勧めしない』と言いますね。波乱の要因として、たとえば先日は、パリでイスラム国による同時多発テロがありました。ヨーロッパ全土には難民の問題もあります。また、オリンピックで盛り上がったかに見えたブラジルレアルの下落は止まらず、新興国株も『先行きは怪しい』と言わざるをえません。中国経済もいつ崩壊するかわからない状態です。さらに、アメリカの利上げの先送りが決まりましたが、いざ利上げが行われれば、株を売って債券を買う人が増えます。となれば、アメリカの株価に引きずられるようにして日本の株価も下がってしまうでしょう」(黒田氏)
ここ数年は市場全体が上向きだったために「ビギナーズラック」もあり得たが、今後はそう簡単にはいかないということだ。リターンを求めて闇雲に投資するより、リスクについてよく学ぶべき時期なのだろう。黒田氏は、投資の基本を確認するよう念押しする。