小杉湯で番台や広報担当として働きながら、各地の銭湯へ脚を伸ばす。開店前の1時間ほど、店内を測量、撮影させてもらい、絵にする。旅の雑誌からも絵の連載を頼まれ、これまで33カ所ほどの銭湯を描いた。
なぜ銭湯なのか。
「まず安さ。都内は一律460円で、仕事帰りに疲れたなと思ったら、ふらっと立ち寄れるのが最大の魅力です。銭湯には今、若い人たちが戻ってきているんですよ」と塩谷さん。
「飲み会の代わりにコミュニケーションの場を求めて銭湯にくる若者とか。女の子の場合、家の窮屈なユニットバスではやりづらい肌の手入れやマッサージがゆったりできる。お年寄りや子供たちは人との繋がりや居場所を求めてくる。私もいつもおばあちゃんたちと楽しい時間を過ごしています」
塩谷さんは、今後も銭湯の価値向上の手伝いをしたいという。「私のように、頑張りすぎてしまった人たちに、銭湯の湯につかって再生されてほしいです」
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■おすすめベスト3は…
年間500回は銭湯の湯につかり、これまで都内だけで約200カ所の銭湯に行ったという塩谷さんに、お勧めの銭湯を聞いてみた。