【アートクルーズ】
大分県国東(くにさき)半島――古くから瀬戸内と大陸をつなぐ交易の要所を担い、そのなかで独特の山岳仏教を育んできた密(ひそ)やかな聖地。2012年より、この地を舞台に継続的に「国東半島アートプロジェクト」が開かれてきた。私が初めてここを訪ねたのも、それがきっかけだった。そして本秋、いよいよ本編とも言うべき「国東半島芸術祭」が開催される。それに先立ち、去る3月に開かれたプレイベントに参加してきた。
「本編」に備え着々
ここ国東半島で実現されてきたアートプロジェクトは、一回こっきりの企画ばかりではない。主要な成果は丁寧に保存され、時を掛けて着々と秋の開催に備えてきた。そのうち、すでに実現済みのオノ・ヨーコ、チェ・ジョンファらによる「香々地プロジェクト」は、国東半島に足を運べば、いつでも観ることができる。3月にはここに、舞台芸術家、勅使川原三郎による「並石(なめし)プロジェクト」と、英国の彫刻家アントニー・ゴームリーによる「千燈(せんとう)プロジェクト」が加わった。3月のプレイベントは、そのお披露目も兼ねた半島内のバス・ツアーというかたちを取っていた。