また、あるG20関係筋は、ロシアに対する制裁では一致していた米欧の間に「微妙な温度差がみられた」とも解説する。欧州は対露制裁で米国と共同歩調をとるものの、天然ガスなどのエネルギーでロシアへの依存度が強い欧州と、「シェール革命」に沸く米国は必ずしも一枚岩ではない。そのあたりを念頭においてか、ドイツのウォルフガング・ショイブレ財務相(71)も「ロシアにとって極端に問題が難しすぎるような状況をつくるべきではない」と発言し、麻生太郎財務相(73)も「欧州と米国では抱える事情が違う」と指摘した。
結果として、共同声明には、ロシアのクリミア併合やウクライナ介入を間接的にも非難するような文言は盛り込まれなかった。逆に米国にとってみれば、自国で開催される「ホームグラウンド」の利を生かし、G20でロシア包囲網を築くもくろみが外れた格好だ。
IMF改革でも難題
さらに、G20は今回、新興国の発言権を拡大するIMF改革について、米国が年末までに批准を終えなければ、「新たな選択肢を策定する」として代替案を模索する方針を表明した。