≪南木曽町 3メートルの岩が道をふさいだ≫
道路は泥で覆われ、線路は土砂で埋まった。7月9日の土石流災害で中学生1人が死亡した長野県南木曽町。10日午後から再び雨が激しくなり、いったん自宅に帰った人も再び避難所に身を寄せた。「また土砂が押し寄せるかもしれない」。住民は警戒を強めた。
土砂で埋まった線路
土石流が発生した現場では、3メートル以上ある大きな岩がいくつも道をふさいだ。山の斜面にあった小屋は流されてきた数本の太い木に押しつぶされていた。現場脇を走るJR中央線の線路は、家屋の屋根や倒木が混じった土砂で1メートル以上の高さまで埋まっていた。
「あんなのは見たことがない。店の前の道路を、すごい速さで土砂が流れていった」。米穀店を営む60代の川口いさ子さんはいまだに動揺が収まらない。「台風も来るし、いつでも避難できるよう荷物をまとめないと」と自宅に急いだ。
JR南木曽駅そばで給水車からペットボトルに水を入れていた70代の女性は「中学に入ったばかりの子供が亡くなるなんて」と言葉を詰まらせた。「土石流が起きた近くには姉もいる。電話が通じず心配」