南木曽町周辺はいったん収まった雨が昼ごろから再び強まり、一時、道は川のようになった。町役場はいったん自宅に帰った住民に再び避難を呼び掛けた。
町役場の避難所には夕方までに70人以上が身を寄せた。郵便局員の男性(61)は「この雨ではまた土砂が崩れて災害が起きるかもしれない。60年生きてきて、こんなことは初めて」と呆然(ぼうぜん)としていた。
土石流は南木曽町の読書(よみかき)地区の住民らが避難準備を整える間もなく一気に襲った。なぜ土石流は発生したのか。専門家は上流部の地質などに着目する。現場は急峻(きゅうしゅん)な沢の上に土砂災害を起こしやすい地質で、過去にも土石流の被害があった。同様の条件の山は全国に点在し、専門家は注意を呼びかけている。
広範囲で崩落の可能性
国土交通省などの調査チームは10日、上流部分で分岐した2つの沢の両方で土石流の発生を確認した。国交省の担当者は「広範囲で斜面崩落があった可能性がある」とみている。