地球温暖化は人間の活動が原因ではなく太陽の活動によるものだと主張してきた米国の著名科学者が、石油業界から多額の寄付金を受け取っていたことを隠して論文を発表していたと報じられ、雇用先の米国立スミソニアン協会が26日、内部調査を開始した。寄付金は10年間で総額120万ドル(約1億4000万円)に上り、利害関係者からの寄付を公表していなかったことが倫理規定に違反するという。“太陽活動説”を唱える科学者は少なくないが、その背後で温暖化の“主犯”とされた石油業界が、脱化石燃料の動きを阻止しようとロビー活動を展開し、うごめいている一端が浮かび上がった。
倫理規定に違反
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が環境保護団体グリーンピースの調査に基づく疑惑を21日に報道。これを受け、スミソニアン協会が26日、公式サイトで調査開始を表明した。
問題の科学者は、1966年生まれのマレーシア系米国人で、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターに所属する地球科学専攻のウィリー・スーン氏。報道によると、スーン氏はこれまでに執筆した11の論文で寄付の事実を公表せず、うち8つの論文が公表先の学術誌の倫理規定に違反するという。