ブローカーを仕立て上げたのに、実際のブローカーであるとして放映したことにNHKの瑕疵(かし)がある。
メディアには事実に即している限り、批判的報道が憲法上の言論・表現の自由としても、放送法上の多角的論点としても許されており、政権政党が「公正な報道」という言葉を使えば、「圧力」になりかねない。一方で、「やらせ=虚偽を事実と誤認させること」と「演出=事実を効果的に伝達する工夫」とは違うということを認識した報道をしないと良質な市民のマスメディア離れがますます進むことになる。(同志社大学名誉教授、メディア・情報学者 渡辺武達(わたなべ・たけさと)/SANKEI EXPRESS)