言うまでもなく、伝統芸能は唯一無二の突出した質を確保しているだろうし、これまでも京都国立近代美術館では、レベルの高いアートが紹介されてきた。清水寺で行われたデニス・ホッパーの写真展は今も関係者の間では伝説となっているし、最近では金閣寺で行われた高級ブランド「グッチ」のバッグのアーカイブ展示が大きな話題となった。それでも…。都市が持つポテンシャルに比例した文化、特に現代アートへの理解とサポートは不十分であると言わざるを得ない。
そんな“もったいない”状況の中、京都が持つ伸びしろを最大限に生かし、その可能性を実証したのがこのKYOTOGRAPHIEでもある。他都市では実現不可能な蔵や町家を活用した展示と世界基準のラインアップで、日本でも数少ない国際写真祭として頭角を現してきた。本年度は「TRIBE:あなたはどこにいるのか?」をテーマに、15会場に9カ国14組の作家が参加するという。
TRIBEは部族を意味するが、単に血や地域といった先天的なつながりではなく、個々人の意思で結ばれたさまざまな視点からなる人間の集まりと解釈し、新しいTRIBEという視点の発見が、情報過多の現代において自分の立ち位置を来場者に見つめ直すきっかけにしてもらうという狙いがあるそうだ。