トラックを運転していたのは、コメの運搬業者を名乗るタイ人の男性。税関職員が荷台を確かめると籾(もみ)米約90トンが発見された。男は、コメはタイ産米だと主張、知人から頼まれただけと訴えたが、最終的に税関の追及にカンボジアからの密輸米であることを認めた。
フランスを旧宗主国とし、内戦で国土が荒廃したカンボジアだが、中央部に位置する巨大なトンレサップ湖の周辺とメコン川流域は伝統的に稲作が盛んだ。内戦前の1960年代には年間300万トンもの生産高があった。現在は政府の後押しで徐々に回復し、米農務省の12年統計によれば精米輸出量で80万トン、世界8位にランクされるまでになった。
だが、タイ米などと比べ安価であることや、精米技術の未発達などから国境を越えて周辺諸国へ密輸されるケースが後を絶たない。そこに重なったのがコメの「買い取り策」。