1兆8520億円支出
また、買い取り代金の中から高額の手数料などを天引きしていた中間ブローカー集団が北部や東北部地方を中心に暗躍していることも判明。一部に政府関係者が加担しているとの指摘も取り沙汰され、政府が対応に追われている。
「コメの買い取り策」は、名目上はコメを担保とした融資制度だが、貸付枠がコメの市場価格の4~5割増に設定されているため、事実上の「買い取り制度」とされ、これまでに約5900億バーツ(約1兆8520億円)に上る国費が投じられた。
一方、政府が売却に成功したのはわずか約800億バーツ。この差額が収穫期ごとの赤字となって、政府債務を膨らましてきた。タイ中央銀行の試算では、このまま19年まで施策が継続された場合、国内総生産(GDP)に対する比率は60%を超えるとされている。
6月には、施策を理由に米格付け会社から国の信用格付けの引き下げ可能性も指摘されたタイ政府。出口の見えない「買い取り策」が待ったなしのところに来ている。(在バンコク・ジャーナリスト 小堀晋一)