フィリピン国内の雇用情勢が悪化している。地場調査会社ソーシャル・ウェザー・ステーションが四半期ごとに実施する調査によると、2013年第4四半期(10~12月期)の失業率は前期比5.8ポイント上昇の27.5%、推定失業者数は同250万人増の1210万人となった。労働団体などからは、政府の成長戦略の見直しが必要だとの声が上がりはじめている。現地紙インクワイアラーなどが報じた。
同調査は失業の定義を「現在無職で求職中の者」とし、18歳以上の1200人を対象に聞き取りを行って失業率を算出する。今回の調査では、18~24歳の若年層の失業率が52.3%と、25~34歳の33.1%、35~44歳の25%よりも高いことなどもわかった。
同国政府も失業者の増加は認めている。ただ、政府関係者は「失業者増加の理由は説明できる」と述べ、昨年11月に中部レイテ島などを直撃した台風30号や、10月に発生してセブ島などに被害が出た地震の影響だとして政府の責任を否定した。
しかし、13年の実質国内総生産(GDP)成長率が7.2%と好調にもかかわらず雇用情勢が悪化していることを受け、不満の声が高まっている。
労働団体KMUの幹部は外国からの投資が雇用増につながりにくい金融や非製造業に偏っているとし、「失業が増えているのは自然災害ではなく政府の政策が原因だ」と主張した。