消費税率の引き上げを前に、金の駆け込み購入が増えている。田中貴金属ジュエリーの銀座本店(東京・銀座)では、2月の金貨の販売量が前年同月の4.5倍を記録するなど急増。物価が上昇すれば現金の相対的な価値が目減りする可能性があることも、金投資への関心を高める要因となっている。ウクライナ情勢の緊迫化や新興国の経済不安を受けて価格が上昇する局面も目立ち、「有事の金」としての存在感も発揮している。
田中貴金属ジュエリーでは金貨だけでなく地金の販売量も伸び、全国7店の合計で2月は前年同月の2.3倍に膨らんだ。水木直人マーケティング本部長は「これまでも消費税増税前には駆け込みで金を購入する動きがあった。3月も販売は伸びるだろう」と話す。
金の本体価格が変動しないと仮定すれば、1グラム当たり4500円の地金は1キロで税込みの小売価格が、増税前の472万5000円が増税後には486万円にまで上がる。都内の貴金属店で100グラムの地金を1本購入した自営業の男性(77)は増税後の負担増を避けるだけでなく、「金の価格はこれからも長期的に上がっていくと考えた」という。