【ソウル=名村隆寛】韓国の統一地方選は5日午前までの開票の結果、焦点となっていた主要8市、9道の首長選で、保守系与党のセヌリ党候補が8カ所、左派系第1野党の新政治民主連合候補が9カ所で当選を果たした。
ソウル市長選は民主連合の現職、朴元淳(パクウォンスン)氏(58)が当選した。特に与野党が伯仲した注目の7選挙区では、セヌリ党が釜山、仁川、京畿道で勝利。民主連合が大田、世宗、忠清北道、江原道を抑えた。
民主連合が選挙前より1カ所多く獲得したかたちだが、旅客船沈没事故への対応をめぐり政府への批判が高まる中、セヌリ党は激戦の末に仁川市長選で民主連合から市長の座を奪うなど、終盤の巻き返しが目立った。
民主連合など野党側は、与党への批判票が期待されたものの、追い風に乗り躍進することはできなかった。韓国メディアは「与党の善戦」とみる専門家らの分析を伝えている。
朴槿恵(パククネ)政権下で初の大型選挙で、政権発足2年目の中間評価とされた今回の選挙では、沈没事故の影響でセヌリ党は序盤から苦戦を強いられた。逆風の中、危機感を強めた同党は、激戦区での接戦を制した。
選挙戦で終始、受け身の側に立たされたセヌリ党が大敗すれば、朴大統領の政治危機へと発展する可能性も指摘されていた。与党が踏みとどまり、最悪の事態を免れた朴大統領ではあるが、沈没事故の対応への批判は続いており、内政運営は依然として厳しい状況だ。