政府は3日、ミャンマーの経済発展に必要な政策をまとめ、同国政府へ提案した。インフラや法制度の整備などを通じて外国資本の製造業を誘致することが柱で、2016年からの新しい5カ年計画に盛り込まれる見通し。ミャンマーは「アジア最後のフロンティア(未開拓地)」ともいわれており、日本企業の進出に結びつけたい考えだ。
「ミャンマー産業発展ビジョン」と名付けたこの政策集は、経済産業省や農林水産省、国土交通省などが合同で作成した。「省庁横断で他国の産業政策を立案するのは初めての試み」(経産省幹部)という。
人件費の低さや中国、インドなどの巨大市場に隣接した地理的特性を生かし、都市部に食品加工など労働集約型の製造業を誘致するよう提案。また、人口の6割超を占める農村部で機械化による生産性の向上を図り、余剰労働力を都市部で活用することを勧めた。こうした政策を進めるには、経済活動の制約となっている電力不足の解消や道路など物流インフラの整備が重要だと指摘した。また、海外からの投資を集めるため、透明性が高い法制度の整備や投資家の保護を図るよう提案している。
ミャンマーの実質成長率は11年の民主化後、タイやマレーシアなど東南アジア諸国連合(ASEAN)主要5カ国の平均(4~6%台)を上回り、13年度は8.3%まで上昇した。経産省幹部は「政策立案に協力することでインフラ整備などで日本企業の参入に結びつけたい」と話している。