5日午前、米アトランタのホテルの共同記者会見場に顔をそろえたTPP交渉参加各国の閣僚らは難交渉を終えた安堵(あんど)感と新時代を切り開いた高揚感に包まれていた。
「TPPの交渉を成功裏に終結させることができたと発表できることを喜ばしく思う」
議長を務めた米通商代表部(USTR)のフロマン代表がこう胸を張ると、各国の交渉官らから大きな拍手がわき起こった。甘利明TPP担当相も「われわれ12カ国のルールは21世紀の世界のルールになっていく」と笑顔をみせた。
会見後、閣僚らはがっちりと握手を交わしたが、交渉は時間切れ寸前の薄氷の合意だった。
最も難航していた新薬データ保護期間をめぐり、米国とオーストラリアが4日に合意し、甘利氏が同日、大筋合意の見通しを明言してからも、交渉の終結を決めるはずの閣僚会合の開催が、5日にずれ込む異例の展開となった。