従来は懸念材料にとどまっていた英国のEU離脱が現実化したことで、世界の金融市場は当面、不安定な展開を余儀なくされる公算が大きい。野村証券の木下智夫チーフ・マーケット・エコノミストは「短期的には円相場は1ドル=98円まで上昇するリスクがあり、日経平均株価は1万4500円程度までの下落を考慮する必要がある」と語る。
ただ、三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは「英国のEU離脱で、ただちに金融システムが動揺したり金融危機に飛び火したりする可能性は低い。世界的な株安になっても、金融市場の機能が大きく損なわれたリーマン・ショックのような激震が走る展開にはならない」との見方を示す。
英国のEU離脱で、米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げが一段と遠のくとの見方も強まりそうだ。FRBのイエレン議長は今月21日の議会証言で、英国の国民投票の結果は「経済に多大な悪影響を及ぼす恐れがある」と指摘。米国が追加利上げに踏み切りにくくなれば円高圧力にさらされ、日本株相場にも逆風となる。