経団連は6日、2016年春闘の妥結状況(118社回答)を発表した。大手企業での定期昇給と賃金水準全体を底上げするベースアップ(ベア)による月例賃金の引き上げ率は2.27%、額は7497円となった。
安倍晋三政権が企業に賃上げを要請する「官製春闘」によって、3年連続で率が2%、額も7000円を超えた。しかし、中国などの新興国経済の減速や円高の進行などで、景気の先行き不透明感が増したことに加え、労組側もベア要求額を減らしたため、賃上げ率は過去2年に比べ、鈍化した。
業種別で賃上げ率が最も高かったのは建設だった。3.17%で、額も1万6194円と高水準となった。東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設特需で、業績が大きく改善していることに加え、建設業界での人手不足から初任給の引き上げなどで他業界を上回った。これに、造船が2.38%、自動車が2.37%で続いた。
調査は原則、東証1部上場で、従業員500人以上の主要21業種251社の大手企業を対象にしている。
連合が6月末時点の回答をまとめた中堅・中小企業も含めた春闘集計でも、賃上げ率は2.0%だった。3年連続で2%を超えたものの、昨年の2.2%に比べ、伸び率は下回った。