ポンド安で円高の恐れも　英米の政治リスクが日本の市場を左右 (1/2ページ)

　英国の欧州連合（ＥＵ）からの「強硬離脱」が現実味を帯び、外国為替市場で英ポンドの下落が一段と進めば、日本企業の収益に逆風となる円高を誘発する恐れがある。１７日は、メイ英首相の演説を控えて投資家のリスク回避姿勢から円高ドル安が進行し、円相場は日本時間夜に一時１ドル＝１１２円台後半と約１カ月半ぶりの高値をつけた。トランプ次期米大統領の政策運営も不透明さが残っており、英米の政治リスクが円相場を左右しかねない。

　ポンドは１６日の日本時間朝方に急落し、一時は約３カ月ぶりに１ポンド＝１・２０ドルを割り込んだ。１７日は買い戻しも入り、メイ首相の演説前は１ポンド＝１・２０～１・２１ドル台で推移した。

　メイ首相が欧州単一市場からの撤退を事実上表明すれば英経済や欧州経済には打撃となる。ポンドやユーロが売られる一方、比較的安全とされる円などが買われて円高が進みかねない。みずほ証券の鈴木健吾氏は「ポンド安が進めば、その裏側で最も上昇するのは円ではないか」と指摘する。

　円相場は、昨年１１月の米大統領選後の「トランプ相場」で今月３日に一時１ドル＝１１８円台後半まで円安が進んでいたが、その後の２週間で一時は約６円も円高に巻き戻している。