政府が10日の日米首脳会談で提案する経済協力案「日米成長雇用イニシアチブ」には、米国産の新型天然ガス「シェールガス」由来の液化天然ガス(LNG)輸出拡大も盛り込まれる見通しだ。米国にとってはエネルギー産業の雇用創出につながる一方、世界最大のLNG需要国である日本も米国産LNGをアジア市場に売り込む“水先案内人”を買って出ることで米国に恩を売り、LNG市場で優位に立ちたい思惑がある。
トランプ米大統領は1月の就任直後から、化石燃料を推進する政策を打ち出している。同月下旬にはカナダのオイルサンド(油砂)から採取した原油を米国に運ぶパイプラインの建設計画を認可し、「この計画が2万8000人の雇用を生み出す」と強調した。シェールガスも採掘規制が緩和されれば生産拡大は確実とみられ、早くも2月のシェールガス生産は増産に転じる見通しとなっている。
トランプ氏はエネルギー産業でも「米国第一主義」「雇用創出」の追求を目指すとみられる。エネルギー産業を育成することで米国内での雇用創出につなげ、自国のエネルギー自給率も高める狙いだ。ただ、LNGの輸出ノウハウは乏しく、LNG調達や、需要が見込める東南アジア地域のLNG基地の整備では一日の長がある日本の協力を求める可能性は高い。