政府・与党は9日、空き地の再開発や流通を促進するため、所有者不明のまま放置された土地を公的機関が利活用できる制度を創設する方向で検討に入った。簡易な手続きで公的機関が土地を借り受けられるようにする案が有力。国や自治体が効率的に道路整備などを進めることが可能で、地方の再開発に道を開く効果が期待される。
政府が6月にまとめる経済財政運営の指針「骨太方針」に制度創設を盛り込む。米国では権利関係などを処理する非営利組織「ランドバンク」が放棄地活用で実績を上げており、政府・与党はこうした先例も踏まえ、5月中をめどに“日本型”の制度設計に向けた議論を本格化させる。
日本の不動産登記は相続などで所有者が変わっても登記変更の義務がなく、登記を調べても実質的な所有者が不明のケースが多い。所有者不明の土地を活用するには、現行の財産管理制度や土地収用制度の手続きが必要だが、膨大な時間とコストが必要で自治体が二の足を踏んでいた。
新制度は現行制度の手続きを簡素化。財産管理人選定や事業認定がなくとも、公的機関が「所有者不明」を公示する手続きを経れば借りられるようにする。
農地法の遊休農地活用などで類似制度があり、政府・与党は同様の規定を盛り込んだ特例法を検討する。一方で、財産権の制約につながるとの指摘も与党内にあり、慎重に議論を詰める。
米国のランドバンクは、放棄地や税滞納で差し押さえられた物件などを競売を経ずに取得でき、ミシガン州やオハイオ州など十数州で制度化されている。取得物件の資産税などが免除されるほか、所有者不明の物件も取得可能。細切れの空き地を集約化することで価値向上を実現している。