政府は9日にも、2012年12月の安倍晋三政権発足以来5度目の成長戦略を閣議決定する。「20年代のドローンによる荷物配送本格化」はじめ、先端技術普及に向けた意欲的なメニューが並ぶが、これまでの成長戦略を振り返ると、数値目標が未達であるなど“道半ば”の取り組みも目立つ。そもそも人工知能(AI)活用などの取り組みが他の先進国より遅いとの指摘もあり、反省を今後にいかす視点が重要だ。
過去の戦略で成果が顕著なのは観光だ。20年を目指していた「年間の訪日外国人客数2000万人」は16年に突破し、目標は4000万人へ引き上げられた。中国人への査証(ビザ)発給要件緩和が大きい。国際的に高い法人税の実効税率の20%台への引き下げは前倒しで実現し、企業統治の強化も進んだ。
一方、目標達成が遠いものもある。13年の戦略で「20年までに先進国3位以内を目指す」とした世界銀行の「ビジネス環境ランキング」での順位は昨年、経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国中26位にとどまった。国内の行政手続きの数や、費用が他国よりかかることが障害だ。