日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉で、EUからの輸入ワインに課す関税を段階的に撤廃する方向で調整していることが15日、分かった。本場の欧州から安価で質の高いワインが流入すれば国産ワインへの影響は必至。対策を整えるため、協定発効から撤廃までに十分な期間を勝ち取れるかが交渉のポイントとなりそうだ。
日本が輸入するワインには15%または1リットル当たり125円のうち低い方の関税が適用されている。一般的な750ミリリットル入りのボトルの関税は最大で約94円となり、低価格帯のワインほど撤廃の恩恵を受ける。
消費者は欧州産の高品質ワインを手軽に楽しめることになるが、生産拡大の途上にある国内ワイン農家への打撃は避けられない。ブランド価値の向上や輸出促進など、対応策の効果が出るまで準備期間が必要だ。
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)では、ワイン関税は発効から8年目に撤廃することで合意した。対欧州でもこれを目安に交渉が進みそうだ。2007年にEPAが発効したチリ産のワインには、13年目の撤廃に向け段階的に関税が引き下げられており、低価格帯を中心に輸入量が増加している。