タイに日本企業の注目が再び集まっている。「タイ投資シンポジウム」が7日に都内で開催され、メーカーや大手商社、サービス関連の約1000人が、タイのソムキット副首相(経済担当)らのハイテクによる新産業開発「東部経済回廊(EEC)」構想に熱心に耳を傾けた。ここ数年の経済停滞などで新規投資意欲は薄れていたが、新政策への関心は高い。タイ政府は新政策を起爆剤とし、経済停滞で先進国入りできない「中進国のわな」を脱したい考え。実現には東部に集積する日本企業の協力が欠かせないと期待を寄せるが、日本企業はタイ政権の本気度と実行力をうかがっている。
今後5年で4.8兆円
タイ政府が今年に入り最優先と打ち出したEEC構想は、首都バンコク東部のチャチュンサオとチョンブリ、ラヨンの3県に今後5年間、官民合計で約4兆8000億円を投じ、ハイテク産業の誘致やインフラ整備を通じて同地域を次世代ハブに育成する構想だ。既にトヨタ自動車や三菱自動車、ブリヂストン、いすゞ自動車なども進出する。
インフラ整備ではラヨン県の軍民共用のウタパオ国際空港を拡張し、バンコク北のドンムアン空港とバンコク南のスワンナプーム国際空港とを高速鉄道などで結び、利便性を高め、東部近郊のレムチャバン港の拡張などでアジアや海外向けの玄関口に育てる狙いがある。